夾板   狹板:「清俗紀聞2」八八頁参照
○公文を傳遞するに用いる保護装置。清代の督撫

等の地方大員は、一般に均しく皇帝に由って報匣
た  ま お
を賞給わり、事を奏する時に于いて公文を封進す
た  ま へ
るに用いるなり。凡そ未だ報匣を賞給わるを經ざ
必要
る督撫等の官は、事を奏する需ある時には則ち公
も い 外側 固く文を將って夾板中に盛放れて外は綿紙を用いて封封印 継ぎ目 押  印 さら
固して接縫の処には本職の印信を蓋し再に黄綾
つ  つ 申しおく
を用いて包裏んで遞送するなり。軍機処の交發り
緊急重要 よ
たる緊要な公文は則ち兵部捷報処に由って夾板を
そな 固く封印 はりつ 驛遞 おく
加え具えて封固して後に印花を貼けて驛に發るな
驛遞 緊急重要 ま
り。在京の各部院が遞もて送る緊要な公文も也た
わた そな  固く封印 驛遞 おく
兵部に交して夾板を加え具え封固して遞もて發るなり。(朱金甫)(「中国歴史大辭典・清史(上)一四五頁、原中文)
○發報档
○档案の名称。
制度
清代の軍機処の档冊。清の制では、督撫等の地方
ほとんど た ま 申し上
高級官員は大都報匣を賞給わり、事を奏 げる時に
おい 封印 受け玉 申しつ
于て、封して進めるなり。旨を奉はりて、密に交
あ ま わか おく
ける事件有らば、亦た匣を用いて頒ち發るなり。
申しつけおく 緊急重要
軍機処が交發 りたる緊要な事件は、兵部の捷報処
よ くわえそな 驛遞 おく
に由って夾板を加具えて驛に發るなり。軍機処が
申付けおく ま
交發 りたる”奉旨字寄密封”の件も亦た捷報処に
 よ 封 印 ほか由って兵部の釘封を加え、外に夾板を加えるなり。
(注一)  へ
各省の馳奏  の摺件は朱批[\批]を経たる後、軍機
よ おくりかえ ある ある
処に由って發回 す者は、或いは報匣を用い、或い
よ 訃印 驛遞
は夾板を用い、亦た捷報処に由って封を加え、遞
おく すなわ こ ある
に發るなり。發報档は即ち是れ上述の報匣或いは
字寄 おく夾板を用いて、寄もて發りたる緊要文件を記載し
た た ある
たる档冊なり。但だ档の中は只だ報匣或いは夾片
しか お よ
の件数を記すのみで、而して内容に渉及ばざるな
はじ
り。乾隆四十四年(一七七九)より起まり同治十三年(一八七四)に止む。
(朱金甫)(「中国歴史大辭典・清史(上)」一三五頁、原中文)
注一、馳報:緊急の公文書。火急に公文書を届け る。(「中国語大辞典」)。以上の馳報の字解から馳奏 は緊急の上奏文書のことと解されると考え る。