黄冊
○題本と一緒に上呈されたものには図・冊・単・筌等がある。冊は表紙を黄紙或は黄綾で整え、皇帝の御覧に供える。故に黄冊と呼称される。黄冊の内容は吏治・刑名・軍事・工事・財政・外交や
儀礼方面にわたり、歴史研究にとって価値ある史料である。中琉関係史から見ると、光禄寺の支出に関する黄冊には、琉球使節の使臣及び随行者に供給する食糧と財政的支出等が毎日詳細に記載されている。その供給の種類・数量・等級基準は『會典事例』の「藩属廩」の条の規定とほぼ一致している。各国使節の供給基準に関してはすべて礼部精膳清吏司から提出され礼部を通し皇帝に題請、批准の後実施に移すのである。
(「歴代寶案研究第2号」「明清档案と中琉関係史料の構成について」)
もと
@文書の名称。上行文。原は明代の進呈する文書
な お も ま
の一つと為すものにして、主要に應に賦役の方面に用いるべし。清代は其の旧称に沿うも然れども
まさ おおい應さに用うべき範囲は很 に広し。凡そ事に因り文
作  成 とも そ冊を繕造して題本と随に御覧に進呈する者は、其

の冊面が概ね黄色を用いるに因りて統べて黄冊と

 い
称うなり。河工の報銷及び各処の營建の工程、絵図の繕冊、各処の錢粮の報銷、朝審・秋審の繕冊、
郷試・會試の試録・題名録、欽天監時憲書の式及
お  も
び随本の奏摺の如きものなり。但だ主要な用途は、
 な
仍ほ経済の方面に属するものなり。
そ 制度
A清代の宗人府の戸籍簿なり。其の制は宗室を載

入する者は黄冊と称い、覚羅を載入する者は紅冊

と称うなり。(単士魁)(「中国歴史大辭典・清史(上)」四五七頁、原中文)