咨部
@ A B C
 甲:「該司仍即叙詳、先行呈請、咨部、毋違」
(「歴代寶案」二八一二)
   叙 :序文を書く(「新字源」)
この甲の句と同様なものに
D E F
 乙:「一併査明通詳、以憑察奪會題、毋違」
がある。この乙の句を通して、甲の句の「咨部」の訓讀を考えることにする。
 甲、乙の兩方ともに福建巡撫の福建等處承宣布政使司にたいする指示である。
 乙の句は「布政司はCのことを行え、巡撫はそれ(C)をもとに會題するつもりである(D)。従って、布政司は巡撫の指示に違うことのないようにせよ」と分析できる。それをもとに、乙を訓讀すると次のようになる。
いっしょ しらべあきらかに しさ
 「一併に査明 して通詳せられたし、以て察
いに調べて決定 そな
奪 して會題するに憑へん。違うことなかれ」
  さて、甲の句も乙の句のように分析できると考える。「布政司は・・・・@を行え、巡撫はそれ(@)をもとに、禮部に咨して報告するつもりである。従って、布政司は巡撫の指示に違うことのないようにせよ」と。
 以上の考察をもとに、甲を訓讀すると、次のようになる。 福建等處承宣布政使司 な ただ か 施行 さき
 「該司 は仍ほ即ちに詳を叙きて行するに先
禮部
だちて[巡撫に]呈請せられたし。<巡撫は>部 に咨すべければなり。」