紙錢

○「若し近いところにお宮が有れば、参詣の上、焼香して安産を祈り且つ安全と交換条件の礼物を約束して、和尚なり道士なりから安全の御符を貰い受けて帰り産婦にいただかし、或いはそれを産婦の腹の上に置き或いは焼いて其の灰を飲ます」(永尾竜造『支那の民族』磯部甲陽堂、昭和二年八ページ)。中国では神や仏に祈願する場合ものを焼いて煙りにするとそこに届くという考え方があった。いわゆる紙錢を焼くもこの類である。

(「イエズス会士中国書簡集3・乾隆編」一二一頁注七、『東洋文庫・平凡社』)