准此。・・・・・”との如し。如し来文に附件が有らば、附件の名称をば、此の語の前に出でて現
以上の趣 一  部
るべし。”・・・・等因あり。某某法規一yを附
以上の趣承知仕れり 調べたルに
す。准此 。査 、・・・・・・・とあり”。
引用叙述 お  わ
來文を引叙して完畢りて后に來文の某某機関に到達したるを叙述するに、然る后に再び此の語を出
以上の趣
現させるなり。”・・・との等因ありて、部院に
以上の趣承知仕れり 以上の趣
到りたり。准此   ””・・・との等由ありて、
以上の趣承知仕れり           道に到りたり。准此 。”の如し。」
このとほりに処理せよとの ある
(二)「照此辧辨理 的意思なり。上級が下級機関或
ある
いは人民に向かひて發出する文書中、下級或いは
とほり 処 理
人民に上級の來文の照依に某事を辧理せよと命令するの用語なり。多く文書の結束處に出現せり。”
このとほりにせよ
右は巴縣知縣の某某に剳す。准此   ””右は
申し付 このとほりにせよ牌もて太湖廰に仰 く、准此 。”との如し。」
A「右符文付都通事毛如苞等、准此」(「歴代寶案」二八四〇)
B「右執照付存留通事毛維基等、准此」
(「歴代寶案」二八四一)
 「歴史文書用語辭典」では「准此」の使用法を二つあげている。(一)は「中日大辭典」のものと同じである。また、(二)は「福惠全書」の例と同じである。
 「福惠全書」及び「歴史用語辭典」の(二)の「准此」は上級機関が下級機関に發する文書中に現出し、「このとほりにせよ」と命令する意味を持つ用語である。ところが、「歴史文書用語辭典」の
(二)、「福惠全書」の例文に於ける「准此」の使用法と頗る類似する「執照」「符文」中の「准此」がある。それは、「歴史文書用語辭典」の(二)、「福惠全書」に於ける「准此」の現出する所及び句形までほぼ同じである。ほとんど同じであるので、「執照」「符文」の「准此」も「福惠全書」「歴史文書用語辭典」の(二)の「准此」の如く「このとほりにせよ」と命令する意思をもって訓めそうであるが、文書の持つ性格が相違するから、そうは訓めないと考える。
 「福惠全書」の「准此」の例は牌文中のものである。牌というは、「上級が下級機関に發出する文書の一種」である(「歴史文書用語辭典」)。それは上級が下級機関にに対して指示命令を与えて下級機関に何らかの事を執行させる類の性格を持つ文書である。ところが、「符文」「執照」は請願する文書でも指示命令する文書でもなく、「使者」であるか否かを検分するに必要な人に付帯して、その「人」の身分を証明するいわば現在のパスポート、身分証のようなものである。
 このように、「牌」と「符文」「執照」とは文書の持つ性格が相違する。また、「符文」「執照」は琉球國中山王からみて中國の下級の官吏に提示するものとも考えられが、総督・巡撫に「執照」「符文」の写しを提出することがあり、総督・巡撫はそれを見ることもあるので、実際に「符文」「執照」を検分するのが、琉球國中山王より下級機関の者であっても、そのコピーが上級にあたる総督・巡撫の手に届くこともあるから、間接的には琉球國中山王が総督・巡撫等の上級機関へ対して提示される文書であると見做されるので、いやしくも上級の総督・巡撫に対して、「このとほりにせよ」と命令を発する意思をもって「准此」という用語を用いたとは考えられない。
 「符文」「執照」は琉球國中山王が「符文」「執照」に書かれている事柄を中國政庁に対して証明する文書であるから、ここに使用される「准此」は「以上相違ございません」と証明する意思を込めた用語であると解せられる。従って、「符文」「執照」に於ける「准此」は「このとほり相違ありませんのでこのとほりに処理せられたし」と訓むのが良いのではないかと考える。
以上証明すこの
 A「右の符文は都通事毛如苞等に付す。准此
とほり処理せられたし」
以上証明す
  B「右の執照は存留通事毛維基等に付す。准此
このとほり処理せられたし」
○准此も上より下に用いる公文書の慣用句で、内容に応じて、これを許す、右了承す、その通りにしてよろし、かくの如くせよ、などの意となる。 (「清俗紀聞2」一四四注三・『東洋文庫・平凡社』)