照得
照得:公牘用語、爲査察而得之義。茶香室叢
鈔・・『癸辛雜識・・「天長觀道士爲僧獻揚 總攝所云・・『照得賀知章者』按今公牘文字 毎用照得二字冠首、觀此、則宋・元時已然矣。 然今時所用、多自上行下者、此乃自下行上、 微有不同。明時臣僚有於奏牘中用照得字獲咎 者、可知明人於照得字已不敢輕用矣。」』按 近世公牘中亦用之、大抵下行文中憑空發論者 多冠此二字、尤以用於布告中爲多。今簡化公 文程式後、已不 復使用。(「辭海」)
○(意訳)照得:公文書用語。調べて知った、わかった意味。 「茶香室叢鈔」所載の「癸辛雜識」に『天長觀という道士が僧の爲に揚總攝に文書を差
しらべてわかったところなるが
し出して申し上げた所に「照得 賀知章
おもうに
者なるものは」とある。按 、今の公文書におけ
つね
る文字には毎に照得の二字を文書の冠首に用いるが、右の例文を觀ると、宋・元の時からすでに照得の二字を文書の冠首に用いていたようである。しかし、今時の公文書における照得の二字は、上級の者より下級の者へ送る文書に多く見られはするが、下級の者より上級の者へ送る文書にも用い
わず
られることもある。両者の使用法には微かながら相違するものがある。明の時、臣僚が奏牘文の中に照得の字を用いて罪を得た者がいるが、明の人が照得の字を輕々には使用しなかったことが知れ
おも
る』とある。按うに、近世の公文書中にもこれを用いているが、大抵は上級の者から下級の者へ送られる下行文中において、意味のない發語(憑空發論)として、多く此の二字を冒頭に置かれている。それは布告の中での使用が多い。今は公文の様式が簡略化されているので使用されてない。