水路
スイルウ すいえき ブウデウ
 水路〔ふなじ〕は水駅〔みなと〕あり。埠頭〔
かしら
ふとう〕とて百姓頭分の者、船を支配する所あり。すべて船を雇うことは官民ともにこの所なり。官
たいせん
船のごときは二三百里の所にて大船一艘およそ二
ソウザイクワンセン
百目ぐらい、小舟は六匁なり。もっとも所在官 船〔その土地の官船〕のごときはみなその土地の入用にて造ることにて、官府より別に造船の賃出づ
だいち
ること一切なし。また民商内地〔からのうち〕の
りくじ
水行〔ふなじ〕あるいは陸地にても関所ありて、
こくせん(注一)
荷物ならびに人数改め石銭運上等納むる事あり。もっとも船賃は海路二三里の渡りなれば小船一艘
ユウデン
二百五十文ぐらいなり。渡し場ごとに郵亭とて休息所あり。往来の客、舟を待ちあるいは雨雪を避
ちゃたばこ
くる所なり。もっとも所により茶烟 等出すこともあり。
注一、石錢は、江戸時代に船積の石数に応じて船 舶に課した税。(「清俗紀聞2」一四六頁・『東洋文庫・平凡社』)