隨手登記档
○簡して”隨手”と称う。档案の名称なり。清代
おく
の軍機処の收して発りたる文件の登記簿の一つな
はじ
り。乾隆元年(一七三六)に起まり、宣統三年(

一九一一)に止む。毎日登記し、半年毎に装訂し
つく
て一冊を成り、現に中国第一歴史档案館に存する
日直にあたの
者は共に七百十九冊なり。該の档は毎日の値日
 よ 責任 もっ  そ
軍機処章京に由って責を負って登記し、本の日に
うけと
收 りたる奏摺及び片・単、奏到する所の諭旨等を將って、分別して登記するなり。朱批は則ち全て
記録
録し、諭旨及び摺・片は則ち事由を摘叙するなり。
お まさ おく
登載が畢われば、應さに内閣に発るべき者には”
まさ おく
交”字を注し、應さに兵部に発るべき者には”馬遞”及び里数を注する有り。登載する所の内容は、乾嘉の時には、春夏二季を以って一冊と為し、秋冬二季を一冊と為す。道咸以後は中外の交渉は日
ま 季節ごと
に多く諭摺も也た多し。故に季毎に一冊と為す。分別して装訂し、收儲して査に備えるなり。之れ
い つ  く
を”隨手”と謂う。其の成為りたる清代の奏摺・上諭等の档案の收発の総目は、現存の清廷の档案
しらべさが おおき はたらき
を整理したり、査找 したりするに甚 な作用をするなり。(朱金甫)(「中国歴史大辭典・清史(上)」四九二頁、原中文)