大差
ツカレカ タダ
○差使、失xして馬匹をば贏缺けば糺すことあり。
ゴヨウムキ
その差たるや、欽命の公幹 の大臣あり、朝貢の蕃
ノゾム ソウトクジュンブ
使あり。入覲して任に の督撫 ・提鎭と巡・監税の部院の壱卿あり。是れを大差と謂う。
イソギノフレガキ ハヤツギ ヒギリ キ
 命を奉じて星駛する急檄 、飛遞、限 を尅めて以て赴く者あり。是れを緊差と謂う。
地方官庁ノ吏員 題 本 モタラ
 承舎 の奏・本章を齎 し、佐僚の慶賀・大計
かわってささげもつ
の表冊を代捧 するものあり。是れを小差と謂
う。

   あわれ あわれ
 勞を憫 み死を恤 むに郵騎を給するを許す。是れを散差と謂う。
サキブレノワリインアルカキツケ
 官なれば則ち給するに勘合 を以てし、役なれば則ち給するに火牌を以てす。勘合による
クワンニンノカズ シラ
の廩給は員 を按べ、火牌によるの口糧は分
しら [部の
を按べ、而して水驛の船隻、陸驛の夫馬は則ち部
方であらかじめ勘合に書き付けたもの]
填 に遵照すべし。
(「福惠全書」巻二十八、郵政部・総論三二五頁)
タアチャイ きんめい
○大差 は欽命〔皇帝の命〕公用の大臣、あるいは
チャウコン とくぶ(注一)
異国の朝 貢および督撫の往来等をいう。随従の乗
テンサア馬等はその官に応じて等差あり。およそ一品二品
かんざ
の大官なりといえども、表向きは官座というて主
サンマア
人の用馬と、散馬〔かずうま〕とて随従の乗馬とありて、およそ十匹に過ぐべからず。その余はみ
ダアチャイ
な自分入り用にて召し連れるなり。怱じて大差、
スヤウチャイ
小 差にかかわらず公用にて通行の時は、人馬の賃
えきざん
銭、払い方いたさず。そのために駅站には官府より手当あることなり。
 注
 一、督撫は総督と巡撫で、清朝の地方最高長官。 総督は一省もしくは二、三省に一人、巡撫 は一省一人をおいたが、総督と巡撫の職権 ・地位はほぼ同様で、督撫と統称されるこ とが多い。しいていえば総督は軍政面を( 督標という緑営部隊の総指揮)、巡撫は民 政・財政面を主に担当するものとして設け られた文官という違いがある。直隷等の四 省は総督の、山東等の三省は巡撫の専管で、 他の省は両者がいて支配した。
(「清俗紀聞2」一四四頁・『東洋文庫・平凡社』)