通詳
通詳:上級官庁より下級官庁に通令すること。(通詳周知)=下級官庁に通              令して周知させる。(「中日大辭典」)
ショウブンヲモッテウワヤクヘトドケル
通詳:審實ナレバ通詳ス           (「福恵全書」二二八の四)
        通詳:下級官廳から上級官廳に報告するをいう。(「大漢和辭典」)
○「歴代寶案」の例
@「即便欽遵、將琉球國貢使呉美徳及雑氏等、一併速行遣回伊國、通詳速報施行」(歴代寳案」三二七)通詳
    スルハ フ ハ フ ヲスベカ
 申報上司ニ用申文ヲ○詳文加書冊一本須ラク
 申文式 二 一 二 一 二 一
       シ  ヲ   ト シ ナルコト  ハ  ヒ  ヲ
査對字跡與申文無異 驗文不用書冊
二 一 二 一 v v 二 一
フリ ヲ フリ
蒙 憲牌 蒙
ノ ノ ノ 州 メニ ノ ノ 二 一 V
某省府某 爲 某事   某   前事云云  此
縣 二 一 ル ヲ
據 呈報 リ
二 一 據


申覆
シ フ 二 一
云云 合 行
V ヲ
詳報
二 一
ハ ニ ヲ
詳文加ネ具書冊四字、通
 メニ ガ ヘ ヲ  下 二 一 上 シ爲 此某官今備前由 擬
二 一 ハ スルヲ ニ ヲ コシラヒ
詳者加除詳某衙門外
下 V 二 一 上

詳 ニ合具 ヲ 憲臺 伏乞
V 二 申 一

シテV詳 セヨ 詳 ニ照 V ヲ 施行 須至 者
驗 V二 申 一


右 二




某上司衙門銜

某事 州 ノ
年    月 日 某 某某 佐貮某
印 縣 ノ
某首領某
ニ ス ト
背 書 吏某或缺
二 一
(「福恵全書」五七〜五八)   右の「福惠全書」によれば、詳文も通詳もともに上臺に提出する公文書で且つ通詳が詳文の一種でその形式が詳文とほんの少し違う程度のものであることが知れる。
 尚、「福惠全書P六三」に詳文について
ハ ク ヲ ニ
「詳文者、詳 言 其事 而申之上臺者也」とあり、
二 一 二 一
又、「同、P二二八]に「通詳 」と
ショウブンヲモッテウワヤクヘトドケル
の通詳の字訓がある。
○「歴代寶案」の例
@「即便、欽遵将琉球貢使呉美徳及雜氏等、一併速行遣回伊國、通詳速報施行、等因」(歴代寶案」三二七)
  以上のことをもとに「通詳速報」を考える。通詳を名詞として考えると、上臺に報告する公文書、伺いを立てる公文書となるが、動詞として捉えて「通詳す」と訓ずると、公文書の一種である「通詳」を上臺に提出する、という意味になる。「通
報告詳速報」を「[公文の一種たる]通詳もて速やかに報せられ
通詳を提出
たし」と、あるいは「[詳文の一種たる]通詳 して、速
報告
やかに報せられたし。」とも訓ずることが出来ると考える。
すみやか むねにしたが
 「速便に、欽遵 ひて琉球貢使呉美徳及び雜氏
も いっせい すみ まさ か つか かえ
等を將って一併に速やかに行に伊の國に遣わし回
通詳を提出
らしめらるべく、[琉球人の帰国に関する事情を記した詳文の一種たる]通詳

報告 以上の趣
して速やかに報せられたし、との等因あり」