牌行
①「兵部爲牌行事」（「歴代寳案」二八二三）
②「相應牌行、沿途文武員弁、即速飛遞、毋遅、擦拵致干參處可也」（「歴代寶案」二八二三）
　　員弁：文武の官吏（「中日大辭典」）
擦損：すりそんじる（「大漢和辭典」）
③右牌、仰沿途文武官弁、准此（「福惠全書」）
④爲牌行事：牌、是清代的上級向下級機関發出文書之一。此簡略事由套語、表示發出牌文令下級執行、出現于牌文的起首。（「歴史文書用語辭典」）
⑤票行：票、清代的上級向下級機関發出的一種文書。行、行文、清代的票文中、用此語表示票文發往某機関。如”右票行某某縣、准此”
（「歴史文書用語辭典」
○牌行の牌は文書の一種であり、票行の票も文書の一種であるので、牌行と票行の熟語の構成法は同じであると考える。従って、牌行の行と票行の行とは同義であると見做されるから牌行の行は「歴史文書用語辭典」の票行の行の字解中の「行、行文」とあるように、「行文」と解することがで
おく
きると考える。尚、行文とは、「文を行る」である。
　以上の考察をもとに①から⑥を訓讀すると次のようになる。
申しおく
①「兵部、牌をば行る事の爲にす。」
あいまさ申しおくすみや
②「相應に牌をば行らば、沿途の文武員弁は即
かいそぎてつぎつぎにとりつぐなか
速に飛遞べし。遅すること毋れ。擦損
いたす
すらば、參處致于こと可なるべし。」
モウシツクル
③「右は牌もて沿途文武の官弁に仰なり」
もうしおくる
④「牌をば行事の爲にす。：牌は是れ清代の上
こことの
級が下級機関に發出する文書の一なり。此れは事
しさい由を簡略せる套語にして、牌文を發出して、下級に執行せしむるを表示するものなり。牌文の起首に出現す。」
⑤票行：票は清代の上級が下級機関に向かひて發
申し送
出する一種の文書なり。行は文を行ることなり。清代の票文中、此の語を用いて本の票文を某機関
申し送
に發往するを表示す。”右は票をば某某縣に行
このとほりにせられたし
るなり。准此。」