筆帖式
○「歴代寶案P六〇八五」の「據委管南臺税務筆帖式豊安禀稱」にある「筆帖式」について考える。
 「清國行政法」によると、各部院七品筆帖式(正七品)、各部院八品筆帖式(正八品)、各部院九品筆帖式(正九品)の七品から九品の文官である。
 ところが、「清會典」の文官の選任を職掌とする文選清吏司の項に
 「筆帖式如之[割註 上略・・福州・・・・将軍
[将軍衙門]
  衙門各三缺・・中略・・由本處 於考取之筆帖式内送部引見補用・・・・]
とあることによって、福州の筆帖式が福州将軍の考取によって任命補用されることが知れる。
 又、「福建通志」によると「文職」のところには筆帖式に関する記録はないが、「兵制」の福州将軍の下に「筆帖式三名」が置かれていることがわかる。
 尚、税務事務を取り扱う機関である「f海關」は福州将軍の兼管である。(参照:「f海關])
 以上のことによって「歴代寶案」の據委管南臺税務筆帖式豊安禀稱」の「筆帖式」は福州将軍の管理下にあって「武職」に係る事務を掌る「文官」
であるといえる。
○漢語の音譯。義は文書・文件を辧理する人と為す。後金天聡五年(一六三一年)”巴克什”を改めて”筆帖式”と為す。満・漢の章奏文書、漢語を翻譯する等の事を掌理するなり。(安双成)
(「中国歴史大辭典・清史(上)、四一八頁・原中文)