撫院
○撫院は撫台・撫憲などとともに巡撫の別名。清初には巡撫は各省に置かれたほか、国内の要地に置かれて軍務を提督し、糧餉を兼理したが、後者はのちにみな撤廃され、總督とならぶ一省の最高行政長官としての巡撫だけが残った。總督のなかには直隷總督・四川總督のように一省を管轄するものと、両江總督のように三省を兼ねるもの、両広總督・f浙總督のよに二省を兼ねるものがあるけれども、巡撫には二省以上を兼ねるものはいなかった。巡撫は從二品の官であるのに対し、總督は正二品の官であるので、總督と巡撫が併立している省では巡撫は總督の節制を受けたと考えられる。(「イエズス会士中国書簡集・康熈編」五一頁注一一、『東洋文庫・平凡社』)
○撫院は巡撫の役所のこと。なお部照の部は部院すなわち巡撫のこと。
(「清俗紀聞2」一四八〜一四九頁・『「東洋文庫・平凡社』)