里甲馬  [参照:驛站]
リイキャマア えきざん
○里甲馬とは、辺鄙の州邑、駅站の設けなき所にて、その地の民馬をもって通行のたすけに備う。
リイキャ(注一) かしらぶん
これは里甲とて百姓頭 分のもの支配して出だす。
リイキャマア
因ってこれを里甲馬という。
注一、里甲の制は明代に制定され清初まで行なわ れた地方自治制度で、賦役負担義務を有す る戸一一〇で一里を編成、そのうち丁糧の 多い一〇戸を里長に輪番で当たる里長戸と し、残り一〇〇戸を甲首戸とよび一〇戸ず つ一〇組の甲を編成した。毎年各里ごとに 輪番で里長一人と甲首一〇人が当番になっ て一里の事を管摂した。清の康熈四七(一 七〇八)年いごは、一〇戸に一牌頭をたて、 一〇牌に一甲頭をたて、一〇甲に一保長を たてる保甲制に改められたが、これには地 方的修正が加えれる余地が多分に存してい たらしく、地域、時代により内容はさまざ まであって、十八世紀末にも、本書のよう に里甲の名が用いられている所があったら しい。(「清俗紀聞2」一四一〜一四二頁・『東洋文庫・平凡社』)