旅店
たびやど タアホーワン
○旅宿は村落毎にあり。これを打火房〔はたごや〕
タアホーワンツエン ばんたい
という。打火房銭〔はたごせん〕、晩旦〔二じき〕一人前にて八拾文あるいは百文なり。下飯〔めしのさい〕は豆腐類一種、魚肉等はそのこのみにし

なにほど
たがいて何程も出だす。この料は別段払う。
注一、打火は食事ごしらえをすることで、打火房
は食事をだしてくれる宿屋のこと。一般に 客棧、客店などと称する宿屋では食事は出 さず、各自外でとる。日本でも食事をまか
はたご
なう宿屋は旅篭屋、客が自炊して薪代のみ をはらう宿屋を木賃宿といったから、打火 房は「はたごや」と訳している。
(「清俗紀聞2」一四六頁・『東洋文庫・平凡社』)