例賞
○其の例賞を給す。(凡そ國王及び貢使等に賞賜する物件は、上駛院は馬を備え、工部は鞍・轡・靴韈を備え、戸部は銀兩を備え、内務府は紬緞・

絹布・貂皮を備ふ。各衙門は倶に精良なる者を將っ
いた
て頒給す。期に届れば、禮部の堂官が驗看す。頒
お  机
賞の日、午門外道の左に於いて案を設け、賜物を
陳列 およ それぞれ そ
陳し、會同四譯館卿が貢使曁び從官の各 其の國の朝服を服するを率いて、端門内の西の朝房の前
まい 号令  整  列
に詣りて序立せしむ。鴻臚寺の鳴贊が贊して齊班
せしむ。序班が貢使を引きて丹怩フ西に至りて序
号令  号令
立せしむ。北西の東上より進むを贊し、跪を贊し
「叩興」とあれば、貢使は三跪九叩の禮を行なふ。
主客司の官が通事官を率いて、國王に頒給するの賜物を奉じて貢使に授く。貢使は跪きて受けとり、
取りつ
轉 ひで從人に授く。乃ち、次を以て貢使・從人に
それぞれ
賜物を頒つなり。各 跪きて受くること訖はれば、
号令
「叩興]と賛す。復た三跪九叩の禮を行なふ。・・・・中略・・・・・・・・・・・・・・・・・
 琉球の常貢に頒賞するは、國王は、錦八疋・織錦緞八疋・織金紗八疋・織金羅八疋・紗十二疋・
おのおの
緞十八疋・羅十八疋、貢使は各 織金羅三疋・緞八疋・羅五疋・絹五疋・裏紬二疋・布一疋、使者
おのおの
・都通事は各 緞五疋・羅五疋・絹三疋、從人は
おのおの
各 絹三疋・布八疋、伴送官は彭緞袍一件なり。其の土通事及び留邊通事・從人の賞は伴送官と同

じなり。其の貢使が該の國の王舅に係れば、緞五疋を加賞し、その王舅通事は都通事の例に照らすなり。凡そ慶賀及び請封、謝恩等の事に遇ひて使を遣わして至る者も國王及び來使等に賞賜するこ
つ とも
とともに常貢と同じなり。貢使に附ひて同に來た

べつ
る如き者は、均しくネに賞さざるなり。凡そ入監の官生が歸國のときには、毎名に例として綵緞二疋・裏二匹・毛青布六疋を賞し、從人には毎名に毛青布六疋を賞す。並びに緞二疋・裏二疋を加賞し、從人に各一疋を加賞すべきの處を將って、題
禮部 お
本内にて夾単進呈し、旨が下れば部に在いて頒給

す。もし、貢使の京に在るに値へば、午門の前に於いて[貢使と官生と]一體に頒給す。入監の官生が事故あるに遇へば、国子監は禮部に咨報し[禮部が]奏明して、恩もて銀三百兩を[事故あるの官生に]賞す。一百兩を
そ かえ
以て葬事を營なませ、其の二百兩は回るに附して本家をして收領せしむ。從人の京に在る者は、仍ほ例に照らして布疋を賞給す。該の國王は下次の貢使の來京の時に於いて表を附して恩を謝するなり。・・・・・・・中略・・・・・・
 各國の國王及び王妃に賞するの物件並びに特恩
かきしるしおくり
の加賞は、均しく内閣に開送 し勅内に撰入し
わた もた かへ
て、來使に交し齎らし回らしむ。勅書を簡に畫く
申しつ つつ 申しつ
は工部に行 け、布疋に裏むは戸部に行 つく。國王に特賜し、貢使に加賞することに至りては、事
隷属
は軍機処・内務府に隷す。
(「欽定大清會典・巻三十九、主客清吏使」〇四一〇〜〇四一一頁)